あの翌日から、Woofさんは猛烈な雪だったようで
ファミリー会の日は、お天気よく、みなさんが無事に帰路につくことができて
ほんとうに良かったなあと、ほっとしました。
ファミリー会をしたあと、参加された皆さんが、「どこからみてもMonamourの犬はmonamourの犬とわかる」
ハンコを押したみたいにそっくりなお顔。
とおっしゃっていましたが、ほんとうによく似ていました。
ボーダーテリアも、ジャックラッセルテリアも、みんなどこか共通点のあるお顔。
それもそのはず。
頭部表現(お顔の表現)は、ブリーダーがもっとも、こだわるべき部分だと思っています。
ブリーダーが、世界中どこへ行っても、このお顔はこの人が育てた犬の顔だと認識されるということは
それだけ、一貫性をもって繁殖をする結果です。
わたしは、繁殖をする限りにおいて
「健全な四肢、健全な歩様、美しいバランス、かわいい顔、マイルドな気質」
この5点は、絶対不可欠の要素と思って繫殖しています。
健全な四肢あるいは健全な歩様という部分には、もちろん、遺伝性疾患の排除がありますし
美しいバランスというのは、ブリード・スタンダードにのっとった繁殖が前提です。
かわいいお顔というのは、これもブリードスタンダードに準じながらも
より美しく、よりかわいく、色素の濃い、愛らしい表現を目指しています。
マイルドな気質、これについては、ジャックラッセルテリアは誰もが育てにくいハイパーで
タフな気質という、インターネットなどで流布されている、ジャックラッセルテリアの一般論が
ありますが、自分はこれに対してはかなり、異なる意見を持っています。
まず、狩猟犬気質というのは、何ものをも恐れない気質であって、攻撃性とは異なります。
また、よく吠えたり神経質なジャックが多いと言われますが、もしよく吠えて神経質なら
本質的な意味で、人間のよき伴侶犬には、なれません。
ですから、自分のブリーディングするジャックラッセルテリアについては、性格はマイルドで温和
無駄吠えしない、無駄にハイパーな動きをしない、オンとオフをきちんとわきまえられる
ポジティブな性格ではあるけれどハイパーではない。
人間の声が耳に届く、情緒の安定したジャックラッセルテリアの気質というのを絶対のテーマにしています。
そうじゃなかったら、誰もが楽しくしあわせに、一緒に暮らせませんから!
MONAMOURの繁殖している犬たちが、すごく良く似ているのは、偶然ではなく
ブリーダーが、ポリシーと信念をもって、ブリーディングというものを考え
3年先、5年先までにわたる、ブリーディングプラン(繁殖計画)にのっとって繁殖を行うため
犬たちはみな、同じようなサイズ、同じような気質、同じような容姿に、おおよそ
揃っていくのだと思います。
いる犬と、いる犬を、交配することを、ブリーディングとは呼びません。
自分たちが目指すもの、足りないもの、補うもの、強化していくものをきちんと明確にして
そのために、最善の牡と牝を、最善のタイミングで交配することを、ブリーディングと呼ぶのです。
うちで犬を迎えた方々は、自分たちの愛犬のルーツがきちんとわかります。
いつ、うちに遊びに来ても、親犬、兄妹犬がここにいます。
うちではは、繁殖した子を自分で残さないで全部売ってしまうということが、まずないので
うちに来れば、同じときに生まれた兄妹が必ず、いると思います。
売るための繁殖ではなく、残し、未来につなげていくためのブリーディングですから
交配する前から「○○ちゃん、交配します、オーナーさん募集中♪」みたいなこともしませんし
赤ちゃんが生まれたら、その子たちがどんなふうに育つかもわからないうちから
「オーナーさん募集中、男の子○○頭、女の子○○頭!」という募集もしません。
飼う(買う)側からしたら、ものすごく不便なことかもしれませんが、
良い子を未来に残していくためには、ある程度の成長段階を見ないと、いろいろなことが
決められないのです。こればっかりは・・・申し訳ない。
よく、生後すぐとか、2週間くらいとか、あるいは生後60日くらいで
「この子はショータイプ!」という方がいますが、自分はぜんぜん、生後60日くらいでは
その子がどう育つのかなんて、ぜーんぜん、わかりません。
ただ、かわいいなってくらいしか・・・。
小さかった子が大きく育つこともあるし、毛質だって、咬み合わせだって、頭部の変化だって
赤ちゃんをみても、あまりよくわかりません。これが正直な話。
このお写真のビリーも、生後11か月くらいまでうちで育ってから
いまのオーナーさんのお宅に迎えていただきました。
スウェーデンを代表する名犬、Goldsand's columbusの子ですが
はじめて繁殖に使った牡だったので、子犬の成長プロセスが分からず、生まれた子4頭全員
自分の手元に長く残して、成長を見せてもらいました。
その後、いまのオーナーさんに迎えていただきましたが、ほんとうに大事に、愛され、暮らしています。
ブリーダーから犬を迎えるということは、そのブリーダーの考える犬種観や
この犬種はこうであってほしいという願いが詰まった犬を迎えるということです。
これが、ショップで迎えた子犬だとしたら、その子をこの世に生まれさせた人は
なにを願ってその子をこの世に生み出したのでしょうか。
それが、売れればいいなとお金だけのことで命を生み出しているのだとしたら、悲しいなと
思います。