今年のワイアーフォックステリアは、ワイアーフォックステリア史に残るといわれる
激戦でした。
そう。
昨年のテリアグループウィナー、ワールドドッグショーのベストインショー3、
ブラジルの大富豪がオーナーにつき、プライベートジェットで世界を飛び回る
スーパースターの、King Arthor Van Foliny Home (キング)、
英国のオールブリード史上、最多のベストインショーを誇り、本年のベストインショー候補
とも評される、TRAVELLA STRIKING STEAL (オリバー)、
スウェーデンのオールブリードナンバーワンで、近年最高のワイアーと名高い
King Arthorの父犬、Crispy Legacy (Sparky)、
そして、2014年ワイアーフォックステリアクラブオブアメリカの覇者
FOXCREEK JP IDEAL OR IDIOT (タロウ)
これらの犬たちが、すべて一同に、OPEN DOG CLASSに集結しました。
まあ、ふつうに考えればオリバーvs キング、だったのでしょうけれども
プライベートジェットもなく、お抱え運転手だってもちろんいないタロウとハンドラー氏
がんばりました。
なんと。
なんと。
英国史上最多ベストインショーに間もなく手が届くと言われる
TRAVELLA STRIKING STEAL (OLIVER)を抑え、OPEN DOGの2席に!
これってめちゃくちゃすごい!
ワイアーフォックステリア通なら、きっと想像がつくとおもうのですが、
英国TRAVELLA犬舎史上もっとも勝っているスペシャルドッグに、日本産の犬が
席次で上回るなんて。
まさか、まさかの、大金星でした。
しかして今年のクラフツ、少しいつもとは様子が違っていました。
クラフツといえば、純血犬種天国、英国のお家芸。
英国の犬たちが活躍する場として長らく君臨してきましたが・・・
今年は、多くの犬種で英国の犬たちを抑えて、海外遠征組がベストオブブリードを
獲得し、また、グループウィナーに選ばれたのでした。
いかに大英帝国と言え、国際化の波は、受け入れざるを得ないというところでしょうか。
さて。
今年のクラフツ、ベストインショーは、スコティッシュテリアでした。
はい。
日本でもおなじみの・・・レベッカです。
レベッカは10年以上前、米軍エアフォースに所属し、青森の三沢に住んでいました。
ある年の本部展(アジアインターショー)で、クランバーアップのパドックに足を止め
「あたしもスコッチ持ってるの!」と、陽気に話しかけてきた、オーナーハンドラーでした。
そのとき、ちょうど、リングが重複してスコティッシュテリアのリングに間に合わなそうだった
ハンドラー氏は、「おお、ちょうどよかった、じゃあこの犬ショーしてくれない?」と
いきなり、自分のスコッチをはじめて会ったレベッカに手渡し、自分は別のリングへ。
その日、レベッカは見事、ハンドラー氏のスコティッシュテリア「マルコ」で、
本部展のベスト・オブ・ブリードを獲得したのでした。
後に、このマルコはレベッカのママにプレゼントしたのでした。
このころのレベッカは、まだジュニアハンドラーあがりのアマチュアで、
テリア種のトリミングも、まったくできませんでした。
ぼさぼさのペットのスコッチを連れてきて、「トリミングを教えてほしい」と
毎週のように、ハンドラー氏を追いかけてドッグショーに通うようになりました。
片側だけトリミングしてあげて、「来週までにもう半分をやっておいで」というと
必ず、もう半分を仕上げて翌週のドッグショーに、青森の三沢から自分で運転して
やって来たのです。
そこからは、皆さんの記憶にあるレベッカです。
日本のドッグショーでもずいぶん、活躍しました。
アメリカに帰ってからは、プロハンドラーとして、またブリーダーハンドラーとして
みるみる、成長していったのでした。
レベッカは、言ってみればハンドラー氏にとって、いちばん成長した弟子です。
目の前で、レベッカのベストインショーを見られたことは、素晴らしいことでした。
人を育てることも、犬を育てることも、未来につながることなのだなあと思います。
いろんな意味で、実りの多いクラフツでした。
タロウは、これからしばらく、イギリスのドッグショーで頑張ります。
TRAVELLA STRIKING STEALを破り、ナンバーワンになれるのか。
挑戦が、はじまります。
To be continued...