今日も始発電車に乗って、SHOWGROUNDに出勤です。
いつもと変わらない朝、もう道を確かめなくてもよそ見をしていても
SHOWGROUNDのドッグパビリオンに迷子にならずに着けるようになりました。
カメラと目録の入った大きなバッグを抱えて、ムートンブーツにダウンジャケット
防寒は万全、まったくもってカジュアルダウンしたショースタイルです。
メルボルン・ドッグクラブはオーストラリアで最大にして最古のドッグクラブ。
今朝、メルボルン・ドッグクラブの会長を務めるMr.John Tohmpsonが
(なんとこの偉い人も毎日、朝から晩までリングに立ちっきりで全日程スチュアードを勤めます。)
おはよう、毎日たのしんでる?って話かけてきたので、
メルボルンの町のことはまったくわからないし、レストランも観光も
どこも行ってないからまるでわからないけど、DOGSHOW GROUNDの中なら
毎日、毎日、とても楽しんでいますって答えたら、
HaHaHa、well done,それでこそDOG PERSONだって、胸を張って言われました。
今日は午前だけドッグショーを見て、午後からあそこに行こうかとか
ここに行こうかとか朝のうちは考えるには考えるのですがけっきょく・・・
ドッグショーに行くと次から次と好奇心が生まれて、気づくと夕方。
今日は、朝いちばんでボーダーテリアの審査があったので超たのしみでした。
もともとイギリスに住んでいたブリーダーがニュージーランドに移住し
ニュージーランドからオーストラリアに移住し、今年は彼女の犬が
オーストラリアのブリードスコアNo,1を躍進中、ボーダーテリアという
地味な犬種ですがオールブリードショーでベストインショーを獲る大活躍。
さらに、彼女の作った犬が6月にデンマークで行われた
ワールドドッグショーで、ワールドウィナーを獲得するという快挙。
以降、いま世界中から注目されているケネルのボーダーテリアたちが登場します。
今日、見たかったのは、オーストラリアNo,1のレッドの牡と
それから2008年にワールドドッグショーでワールドウィナーを獲った
スウェーデンからの輸入犬の牡、その子どもたち。
ボーダーテリア自体のエントリーはとても少なかったですが
見ごたえのある犬たちが数頭でてきて、びっくりしました。
自分の経験もまだ少ないですが、クラフツ、モンゴメリ、ウェストミンスターと
行くたびに目を皿のようにしてボーダーテリアを見ていますが(大好きなので)
正直なところ、こんなボーダーテリアを見られるとは思っていなかったというか
期待値からはるかに上のボーダーを見たような気がします。
アメリカのボーダーテリアは、とてもショーナイズされているけれど
かなり機械的なくらい正確で、ボーダーテリアらしい味わいとか滋味みたいな
「らしさ」がもうちょっとあったらいいなあと思うときもあるし、
イギリスのボーダーテリアは、滋味で味わいがあるけれども
ショードッグとは言いがたいし、サイズも大小さまざま、
テンペラメントもわりとぼわーんとしているような印象がありますが
ここで見たボーダーテリアはその中庸、スタンダードの解釈のなかで
最大限健全だけど「らしさ」はぜったいに失いたくないという
ブリーダーのポリシーがつよく出ているような犬たちでした。
あとは、頭部の表現というのがこの犬種にとって絶対的に大事なものだと
多くの本にも書いてありますが、彼女のボーダーテリアは顔がすごくかわいかった。
これまで「カワウソのような顔」の意味がイマイチよくわからなかったのですが
ドッグショーの審査が終わってから、今日は1日彼女と過ごしレクチャーを受け、
今日のショーが終わるまでずっと彼女のボーダーテリアの授業?を受け続けたおかげでだいぶ、
自分なりに頭がクリアになったというか、ああ、なるほど、なるほど、と
理解の風穴が開いたような感じです。
彼女は次から次へと自慢のボーダーテリアをテーブルに乗せて
この犬の頭部は・・・
この犬の前肢は、後肢は、コートは、体質は、テンペラメントはetc、、、
「あ、もしわたしが早口すぎて聞き取れなかったら止めてね」
と、ノンストップ・マシンガントークで「ボーダーテリアとは?」の
レクチャーをランチタイムから日が落ちるまで聞き続けました。
また、こちらのドッグショーのカリキュラムのなかで、
"ジャッジング・エデュケーショナルプログラム"が組まれていて、つまり審査員育成プログラム。
たとえば今日はボーダーテリアのブリード審査があったのだけれども、
その審査とは別に、ボーダーテリアの審査資格を取得する人のための模擬審査が組まれるのです。
ブリード審査が終了してから、出陳者たちが協力して模擬審査のリングに集い、
10頭近いボーダーテリアがまるで審査と同じように並んで審査を受けます。
教育する側の審査員と、レクチャーを受ける受講審査員がいて
受講審査員が実際のドッグショーで審査をするように模擬審査をしながら、
ときどき教育する審査員が注意をはさみ、「この犬種を審査するにあたって大事なこと」を教えていくのです。
たとえば、ボーダーテリアだったら、頭部の見方。
それから、リブゲージをはかること、そして皮膚のたるみを確認することなど
この犬種を審査するに際して、頭に入れておく大事なことを、模擬審査の過程でレクチャーしていきます。
ものすごく勉強になりました。
この模擬審査によるジャッジング・エデュケーショナルカリキュラムは
毎日いろんな犬種で行われていて、初日はスムースフォックステリアと
ジャックラッセルテリアのときにモデル犬を引かせてもらって参加したのですが
ベテラン審査員が審査員ビギナーをエデュケートするための模擬審査、
コメントやディスカッションも含めてすごい勉強になりました。
出陳者たちがみんな、時間も手間もまったく気にせずごくあたりまえに
この模擬審査にモデル犬とともに参加するんです。
たくさんのモデル犬がいればいるほど、新人審査員の勉強になるし
育成になるから協力するのは当たり前のことなんだと参加者は言っていました。
審査員の目を育成することは、長い目で見たときに自分たちにとっても
すごく大事なことだから、協力することは当然のことなのよと話していたのが印象的でした。
また、こういう機会になんども駆り出されることで
犬もショー会場に慣れて、こういう機会を利用してショーマナーを教えたりもしていました。
オーストラリアの人たち(とひとくくりにはできませんが)はわりと
ラフというかおおらかで、リングサイドでの音もなにも気にしないし
グルーミングした犬をまた移動式ゲージに入れてガラガラ運んでいるし
飾り毛がつぶれても、だいじょうぶだいじょうぶっていう感じで
犬もすごいタフというか、リングサイドで子どもがバシャンバシャン
足踏みしていても、おかまいなしっていうか。
犬のハートがなんでこんなにタフなんだろう?って思ったら、
ショーの数が多いだけじゃなくて、犬たちがショーだけじゃなくて
こういう模擬審査とか、ジュニアハンドラーのコンペとか、犬種紹介パレードとか
1日になんどもなんどもなんどもリングに行く機会があるみたいで
そうこうしてるうちに、たいていのことに慣れちゃうんだって言ってました。
ドッグショーだけでなく、ジャッジングエデュケーションプログラムや
ジュニアハンドラーの育成をシニハンドラーが行っていたり、
みんな参加型のドッグショーコミュニティが出来上がっていたのも印象的。
ドッグショーのランチブレイクのときには、犬種紹介コーナーでメインリングに
ブリード審査を終えた犬種が勢ぞろいして、ブリーダーにインタビューや、
子どもたちに犬を触らせるコーナーそれも実際にさっきまでショーリングにいた犬たち!
犬種パレードが行われていました。
前述したとおり、このメルボルンロイヤルショーはドッグショーにまったく関係ない
お祭りに来る人のほうが圧倒的に多いわけですが、そういうギャラリーたちにも
犬種紹介やパレードをすることで、より親しみを持ってもらう、エントリー層の拡大に
大きくつながっているような印象を受けました。
みんなが参加して、ドッグショーに戻ってくるようなプログラムが
上手に組まれているなあというのが印象的でした。
同じ犬種をつぎつぎハンドリングしているからお母さんと娘かと思ったら
有能な若いジュニアハンドラーたちがブリーダーさんたちを手伝って
いろんな犬をハンドリングさせてもらったりしているのだそうです。
ドッグショーは、勝った負けたのリングの中での数分間を競うそれだけの場じゃない。
犬を知る場所でもあり、犬を学ぶ場所でもあり、犬を見る目を養い
犬についての意見を聞き、交し合える場でもある。
それがドッグショーなんだと、あらためて感じたこの数日間。
ドッグショーという場で、ニューカマーを育てたり、ファンを育てたり
ショードッグを育てたり、名ジャッジを育てたり、名ブリーダーを育てたり
名ハンドラーを育てたり、そして、人と人の輪を育てたり。
ドッグショーという場には、いろいろなものを育てるエッセンスがたくさん
あるのだと、思いました。
明日はフィリップ島にペンギンツアーに行こうかと思っていたのですが
けっきょく・・・ラブラドールレトリバー、コッカーが見たくなり
また、いまこちらのテリアグループで勝っているらしいケアーンテリアの審査も
興味あるなあとか思ってしまい、フィリップ島は遠ざかり、ペンギンも遠ざかり
カンガルーもコアラも遠ざかり、犬、犬、犬が見たい。
明日もまたいつものように始発電車に乗って、SHOWGROUND駅へと向かうことにしました。
今日、印象的だったのはスカイテリアの審査、ゴードンセターの審査、アメリカンアキタの審査など。
スカイテリアのベビーたちは、まるでケアーンテリアの面影で
年齢が上のクラスに行くと違いが明確化してきて面白かったです。
アキタは、牝のベスト・ビッチに選ばれたのがパピークラスの牝で
でもその牝はとびきり目を引く牝で、アキタが大好きな自分は
わくわくしながら応援していたので、ランナーアップまで勝ち進んだ
その牝のアキタのパピーにわくわくしました。
そんなこんなで、疲れ果ててホテルに帰ってきて、
今日もまた、夢中で写真を整理していたら21時過ぎてしまって
ひとり旅なので21時を過ぎたら外はこわいので外出しないようにしてるので
夜ごはん食べ損ねてしまって、昼間食べかけてたドーナツと牛乳でずーっと
今日の写真とカタログのにらめっこしています。
人生で得がたい経験をさせてもらって、うちのハンドラー氏とスタッフとみんなに感謝です。
今日の写真ダイジェスト。
アキタのジャッジング・エデュケーションプログラム。
Borzoi B.O.B&Runner up.
犬種紹介パレード。
お写真だけもうちょっとあります。
こんなきっかけから、いつか、名ハンドラーが生まれるかも・・・しれませんね。
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