毎年、4月は本部展にはじまり、テリア展、そしてそのままの勢いで
ゴールデンウィークのドッグショーへと突入するという感じで
毎日が、ふだんにも増して目まぐるしく過ぎていきます。
先週も、四国から戻ってテリア展の準備に追われ、ヘトヘトになりながら
グルーマーさんたちの力を借り、つぎつぎとテリア展に向けて仕上げをしてきました。
正直、テリアのコンディショニングはものすごく大変です。
洗って、乾かして、チョークを入れてトリミングをして、また洗って、乾かして・・・。
トリミングそのものもかなりの時間を要しますが、その前後もあわせると
1頭をトリミングしはじめてから、仕上げてトリミングを終了するまでに
ものすごく時間もかかりますし、人の手がかかります。
あるいは、期間でいっても、一番最初に抜いてからショーコートになるまでには
数ヶ月を要する場合もあり、その間もずっと、毎週トリミングしつづけなくてはなりません。
それを、毎週欠かさずに手をかけないと、手を抜けばコートはよくならないし
放置すればコートはまた1からふりだしに戻ってしまいます。
どんなにドッグショーで忙しくても、平日に忙しくても、毎週毎週
変わらずにトリミングをしつづけ、犬に手をかけ続けること。
この繰り返し以外には、テリアのコートや状態を良くする方法がありません。
なので、テリアのショーの子が多いとトリミングは大変です。
でも、露木浩のテリアの仕事、テリアのトリミングを楽しみに
ご愛犬をゆだねてくださっているオーナーさんや、テリア愛好家のみなさんに
良い状態のテリアをショーイングしたいという一心で、犬たちのトリミングに
追われる毎日を過ごしています。
昨年のテリア展は、ワイアーフォックステリアのパリスがベストインショー。
スコティッシュテリアのベン君が、パピーベストインショーを獲得しました。
テリア展は、テリアのショーです。
さまざまなテリアを、充分にトリミングして美しい状態でエキジビションすることもまた
このショーの醍醐味だとおもい、1頭1頭、仕上げていきました。
エアデールテリア、ボーダーテリア、ジャックラッセルテリア、
スコティッシュテリア、ワイアーフォックステリア、そしてミニチュアシュナウザー展
ゴールデンレトリバー単独展にエントリーしました。
というわけで、通常のドッグショー以上にこの日は大変!
朝から、エントリーしている犬すべて飾り毛をシャンプーして、ブローして、セット。
つぎつぎ、つぎつぎ、シャンプーして、ブローして、セット。
たとえ前日にそれらをケネルで済ましていても、全員、ショーのセットをする前には
飾り毛をシャンプーして、ブローして毛を1本1本、伸ばして吹かせてからセットします。
それが10数頭だからもう、パドックは戦争状態。
お手伝いしてくれた、グルーマーさんチーム、生徒さんのチームのみなさん
強力な助っ人でした。
ほんとうにありがとう!!
助っ人さんたちがいなかったら、あれだけの頭数のテリアたちを
洗って、ブローして、時間に間に合うように全員を送り出すことは
できなかったとおもいます。
妥協のない状態でリングに送り出そうと思うと、ものすごく大変です。
スコッチも、ワイアーも、ケネルでトリミングをしてからショーにつれてきても
ショーの朝クレートから出した状態から、ドッグショーに出られる状態にセットするまで
ものすごく手間をかけ、セットしていくのです。
今回は、エアデールがお昼くらいからだったのでちょっと助かりましたが
そのあいだに、ミニチュアシュナウザー展で2頭が入ったので、
意外にワイアーより乾かすのに時間がかかるシュナウザーやスコッチなど
つぎつぎブローを手伝ってもらってほんとうに助かりました。
今年は、本部展、ジャパンインターナショナルドッグショーでは
スコティッシュテリアのベンがグループ3席、ジャックラッセルテリアのサブがグループ2席
そしてワイアーフォックステリアのリオがグループ1席と、夢の本部展1・2・3が叶った
チーム・クランバーアップ。
テリア展も、力が入りました。
目録の時間割の訂正があって、ちょっと朝、混乱してしまい、
(時間差で組み立ててブローしていくので、時間を間違うとものすごく大変なことに!)
めまいがしそうなくらいでしたが、ひとつのリングでつぎつぎ進行だったので
みんなをつぎつぎリングに送り出しました。
そして。
今年のテリア展。
ジャックラッセルテリア、サブ、Award Of Merit.
ワイアーフォックステリア Bobby Best Of Breed.
ワイアーフォックステリア ミシェル Puppy Best Of Breed.
ボーダーテリア Dude Best Of Breed.
ワイアーフォックステリア レイリー BEST BABY IN SHOW./BABY KING.
ワイアーフォックステリア ニコ BABY KING.
スコティッシュテリア MAIKO-SAN BEST PUPPY IN SHOW./PUPPY QUEEN.
スコティッシュテリア BEN BEST IN SHOW/KING.
なんと、ベビー、パピー、チャンピオンシップ、全クラスでBEST IN SHOWという結果に。
スコティッシュテリアのベンは、昨年のパピーベストインショーに続き
今年はチャンピオンシップショーでの、ベストインショーに輝きました。
テリアの仕事は、ペイシェンス、忍耐だといわれます。
根気と忍耐。
どんなことがあっても、毎週、犬に触れ続けることで状態をあげていきます。
でも、正直とても大変だと思うことも心折れそうになることもあります。
忙しすぎて、休みナシで、それでもまだ足りないことのほうが多いです。
でも、犬たちを磨き続けてきたことをこういう形で評価していただけることは
日々の仕事の励みになります。
来る日も、来る日も、あまりに忙しく、なんのためにこんなにも忙しく過ごしているんだろうと
わからなくなってしまいそうな日もありますが、
ショードッグを、より良いコンディションでリングに送り出し
そしてこういう素晴らしい評価につながってほしいからこそ、
毎日、がんばっているんだなあということを、教えてもらったような気がします。
今年も、参考犬として、ワイアーフォックステリアのリオをみなさんに
ご披露することができました。
10歳でも、ナチュラルコートでクリッパーは一切はいっていない
バリバリのワイアーコートです。
今年は本部展でテリアグループ1席にも選ばれました。
若い頃ほどのイケイケではありませんが、そのぶんムーブメントに落ち着きが出て
いまなお、その正確なゲイトは健在です。
おそらく、おそらく、おそらく、今年が引退の年になるとおもいます。
もしも元気で、バリバリであったら、来年もみなさんにお披露目できるかも
しれませんが、それはリオの元気度を見て、、、という感じで
いちばんきれいな状態の名犬を、みなさんの目に焼き付けてほしい
という気持ちもあります。
たくさんのあたたかい拍手をおくってくださったギャラリーのみなさん、
参考犬のエキジビションをハンドリングしてくださった、加藤茂ハンドラーさん
ありがとうございました。
リオを愛してくださる、リオの子や孫のオーナーさん
ありがとうございます。
すべての犬種に共通して言えることですが
ことさら、テリアに関して、「コンディショニングは裏切らない。」
犬は、手をかければかけた分だけ、コンディションが上がる。
このことを、あらためて痛感した今年の本部展からテリア展までの日々でした。
手を抜かないで、毛を抜くんだ。
こんな冗談が会場で交わされていましたが、テリアマンにとってこれは真理でしょう。
豆だらけになった手、腱鞘炎や、ひどい肩こり、皮が向けた手のひら。
それでも、テリアマンは、根気と忍耐。
日々、犬を磨くことによってのみ、犬の状態をあげることができるし
結果に結びつくただひとつの道なのだと。
あらためて身にしみて実感し、またこれからの日々をがんばっていこうとおもいます。
勝つか負けるか以上に、トリミングした状態の犬をショーイングして
それをきれいだとおもってもらえたらそれだけでもとても嬉しいです。
いつも、結果がどうこうという気持ち以上に、犬たちを間違いなく良い状態で
ショーリングに送り出さなければ、という一心で必死です。
夢中で1日のスケジュールをまわし、気づいたら目まぐるしい1日が
終わっていたというのが正直な実感です。
そして、テリア展が終わった後は、エントリーしていた10数頭のパウダーアウト。
シャンプーとブローを会場でその日のうちにしなくてはならず、これまた大変な作業。
翌日は連合展もあるし、、、大変だと気持ちが焦ったところで
またまた、グルーマーさんチームと生徒さんチーム総出でものすごい勢いで
つぎつぎ、つぎつぎ、洗って、乾かして、毛を伸ばして、ブローしてくれました。
全員、すっきりとした状態でその日を終えることができました。
なんていったらいいかわからないほど、、、感謝です。
朝、クレートから出してブローしてセットして、ショーの前にまたセットして
ブリードが終わってグループの前にまたセットして、ショーが終わればすぐさま洗って乾かして…
テリアを1頭ショーイングするということは、それだけの工程を踏むのです。
だから、テリア展はほんとうに大変!
通常のオールブリードショーだと、ここまで準備が大変ではありませんが
テリア展は特別な忙しさです。
でも、うれしい結果だったので、むくわれました。
ほんとうにうれしいです。
スタッフのみんなに、そしてグルーマーさんチーム、生徒さんチーム
お手伝いくださったみなさんに、心から感謝です。
さらに、ゴールデン単独システムではキングがウィナースドッグでニューチャンピオンに。
今日もまた、ウィナースドッグで、外国人ジャッジではものすごく強いキンちゃんでした。
また、ミニチュアシュナウザーのダーウィンも、ウィナースドッグでチャンピオンフィニッシュ。
今日は、コーギーのジャッキーがグループ2、ドーベルマンのルナがグループ3席でした。
そして、スコティッシュテリアのパピーのMAIKO-sanが、昨日にひきつづき今日も
ベスト・パピーインショーに。
3月、本部展前からこのテリア展まで、
みんなをいい状態でショーに出さなくてはというプレッシャーを感じながら
毎日を過ごしてきました。
本部展、テリア展ともに、良い結果で終えることができました。
テリアのこの手間ひまの工程を考えるとそれはどの犬種にも相通ずるとおもいます。
根気と忍耐で、犬の状態をあげることに専念し、状態をよりよくするしかないのだと。
また、ゴールデンウィーク、近畿インターと、休む間もなくドッグショーがつづきます。
ことしの4月を思い出しながら、またつぎのショーへのがんばる糧としたいとおもいます。
サポートしてくださったみなさん、
応援してくださったみなさん、
そして、大切な愛犬をクランバーアップにゆだねてくださるオーナーのみなさん
ありがとうございました。
スタッフ一同、また、がんばりたいとおもいます。
2010年、4月をふりかえって。
チームクランバーアップ一同。