相撲取りには、日本相撲協会が定める道徳律があるでしょうし、
競馬のジョッキーにも、日本競馬協会が定める道徳律があります。
アメリカの、PHA(PROFESSIONAL HANDLERS ASSOCIATION)にも道徳律があります。
下記、一部抜粋を掲載しますが、驚くほど明確にその行動基準が定められています。
ドッグショーの明瞭化、透明化、クライアントへの説明義務、ハンドラー同士の
クライアントの扱いなど、この規律にはおよそ予測されるトラブルを回避するための
規律が、明確に記されています。
ちなみに、日本にはこのような規定が存在しないというのが現状です。
PHAの定める道徳律(Codeofethics)とは?
1.PHAに属するハンドラーは、自身の道徳律とPHAとAKCの規則に則り活動する。
また、これらの倫理を守り、PHAのイメージを守ることに努める。
2.他のメンバーのクライアントから直接、犬を預ることをしない。
3.いつもプロフェッショナルな手段ですべてに接するよう努める。
たとえ審査結果がいかなるものであっても、ショーイングのときはいつでも
礼儀正しく、そしてスポーツマンシップを重んじる。
4.仲間のハンドラーを誹謗中傷しない。彼らがショーしている犬の事も同様である。
5.プロフェッショナルな態度と節度ある方法でクライアントと接する。
できる限り、カタログ(出陳目録)を用いてすべてのショー結果をクライアントに報告し
彼らにアドバイスし、そして適切な期間内に、すべてのリボンとトロフイを渡す。
6.我々が雇用する人たち(アシスタント/社員)の利益のために、
仕事の知識と技能を改善して、そして適切に仕事を行う十分な道具を準備して
業務に携わる努力をし、クライアントから託された犬を適切に世話する。
7.PHAのメンバーは高いレベルの専門的な技術を継続して、協会の意志と規則を
支援することに同意する。
8.すべてのクライアントと「書面の契約書」を取り交わすことを守る。
公正な契約の元、提供されたサービスに見合う料金のリストを渡す。
請求明細書をつねにクライアントに提出すること。
9.問題が発生した場合、委員会のヒアリングを受けることに同意し審判を受ける。
PHAのメンバーとして、委員会の決定を受け入れる。
PHA(PROFESSIONAL HANDLERS ASSOCIATION)は、
すべての場面において犬の取り扱いを最も高い水準を維持しようと努力する。
ただし、メンバーの個別の行為に関して責任がない。
ここまで読んで見て考えると、プロハンドラーの定義は何でしょうか?
日本では一般に、犬を預りドッグショーにエントリーし、報酬をもらう人々を
ひとくくりに、「プロハンドラー」と 呼んでいるようになります。
一方、先進国アメリカではどうでしょうか?
アメリカには、プロハンドラーを、統括するアソシエーション(協会)があります。
PHAまたはCPHなど、これらの会のメンバーになるには厳しい審査があり、
メンバーたちは、「プロフェッショナル」であることにプライドをもって活動を
していますし、ドッグファンシヤーにも認識されています。
(PHAメンバーであることは、プロの中のプロという認識でしょうか...)
そのメンバーになる条件は、成人であり10年以上の積極的にドッグショーに活躍し、
メンバー3人の推選があり、1年間の観察期間を有してコメントを求め、
申請書とともに事務所に送り選定され、それからさらに、ケネルフアシリティー
(犬舎の設備)がPHAの必要条件に合うかの検査まで受けるという構造です。
また、道徳的な事柄は、上記のように多岐にわたって記されています。
AKCの規則に精通し、倫理を守る。スポーツマンシップにのっとる行動をするなど。
また、興味深いのは「2」で掲載したケネルフアシリティーという箇所の記載です。
これらのさまざまな「プロフェッショナルとして認められるための規定事項」は、
とても興味を引きます。
まず、「経験」の部分では10年以上積極的なドッグショーヘの参加を通じて
犬の健康管理から各犬種の血統内容への理解を深め、コンディションをつくることを
経験することが重要であり、クライアント(オーナー)の信頼を得るのに、
必要不可欠なことです。
クライアントにドッグショーについてカウンセリングできるだけの詳しい知識と
経験を持ち合わせてはじめて、「プロ」と言えるという考えかたです。
ひとくちに「10年の経験」と言っても、とても長い年月ですから、
獣医師とのコンタクトで臨床から交配、出産の知識はもちろんのこと
マネージメント(経理や経営)の対策など各方面への適切なコミュニケーションが
とれることも大切でしょう。
それらすべてをこなし独立し、プロフェッショナルになってゆくと思います。
ハンドラーになったら、単に「犬をハンドリング」すればいいだけではなく
マネジメントや、クライアントのエージェントとして、機能しなければなりません。
そして、なお仕事の質の向上に向けて、日々のたゆまぬ努力を惜しまず、
向上心をもって情報を集めてきたニューカマー (新しいドッグファンシャー)に
正しい情報提供をし、相談に乗ることのできるハンドラ ーが、
"プロハンドラー"ではないでしょうか。
設備についても、犬という動物をただしく理解していれば、当然な事柄ですし、
設備を持てるという事は社会的に信用されている裏付けでもあると思われます。
犬がのびのびと過ごせるケネルや運動場がなく、バリケンを積み重ねただけの自宅で
犬はエクササイズペンで運動するだけ、というようなところには
クライアントも大切な愛犬を、安心してゆだねることができないと思います。
倫理の部分では当然ルールを守り、スポーツマンシップ、社会人としての常識を
兼ね備えるべきだと思います。
また経験に裏付けられた姿勢、設備、倫理が報酬に見合なければならないと思います。
アメリカでは10年〜15年の経験を積んで、先輩ドッグファンシャーが認めてくれて
初めてプロの仲間入りを果たし、独立します。
それまでは、ほとんどの人が、プロハンドラーのアシスタントをしていたり、
ブリーダーのケネルのマネージヤーをしていたりと様々な形でドックショーの
世界に従事しています。また、それが一番の早道なのです。
Clumberupにも、若いアシスタントの皆が住み込みで働いています。
体力的にも厳しい仕事ではありますが、一生ものの技術や経験、犬への知識を深め、
いずれは一流の仕事を身につけ、独立していってほしいと願っています。
あらたな質のいいドッグピープルを育てることも、大切な仕事です。
プロの仕事は、誰が見てもプロの仕事であるべきだと思います。
ドッグショーは、ギャラリーやファンシャーのみなさんにいつも、
ワクワクするような夢のあるショウを見せる場でもあると思います。
そのために、ケネルをかまえ、犬たちをケアし、技術を磨きショーに行くという
ことの繰り返しです。
clumberupが、ドックショーファンシャーから愛される仕事をたゆまず磨く
プロフェッショナルハンドラーケネルであるよう、努力していきたいと思います。
←おかげさまで2位!( と3位を行ったり来たりしています)
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